タイ国さかな歳時記

岡野雅海

第十九回 魚屋の生活

今回は番外編として魚屋の生活を紹介させていただきます。
私どものような零細な魚屋は、量より品質、品揃え、新商品開発、が命です。
その為、買い付けをする地域も東はトラッド、チョンブリ、ラヨン、サタヒップ、シラチャと東海岸一帯に及びます。
それぞれの地に大小の港、漁村が点在し、大型魚から貝、エビ、カニとその地特有の魚を水揚げします。
漁港での水揚げ時間は早朝、夕方に分かれ、天候に大きく左右されながらも、朝入港、午後入港が基本となります。
この他に漁村の小舟はお天気次第。
その時々で帰る時間が2~3時間変わります。
新鮮な魚はこの小舟が一番ですが、天候に左右され、安定性が悪く、しばしば休漁となります。
現在、私どもで取り扱っているものは、魚45種、イカ3種、貝5種、エビ2種の57種類に及び、常時注文の入るものでも30種にもなります。

この広大な産地と30種以上の魚介類の買い付けはこんなふうに行われています。

●配達前日:下見、注文、一部買い付け
AM 4:00 起床 → AM 4:45 ラヨーン市場 → AM 6:00 サタヒップ → AM 8:00 バンサレー → AM 10:00 帰宅。シラチャー方面への注文。
PM 01:00 ラヨーン・イカ桟橋、ラヨーン市場 → PM 4:00 サタヒップ → PM 6:00 帰宅。→PM 9:00 客先 注文取り(電話)。
●配達当日:買い付け、配達
AM 4:00 ラヨーン市場 →AM 6:00 サタヒップ → AM 9:00  帰宅。
AM 10:00 シラチャー。 → PM 12:30 バンコク着 → PM 6:00 配達完了 → PM 9:00 サタヒップ 帰宅。

配達日が日曜日・水曜日・金曜日の週3回なので、月曜日を除いて寝る間も無い程の労働時間なのです。
好きでなければできません。
とにかく新鮮な魚をお届けしたい、その一心で始めたことですが、疲労のあまり不機嫌になりがちで、しばしば相棒とケンカになりますが、これも職業病とあきらめています。

この忙しい中で新しい商品を収めていくわけですが、商品情報を他の業者に教える店があったりして、ひどく腐らせてくれます。 特にタイ人の板前にその傾向が強く、店の店主(日本人)に”ソッと教えてゴマをする”ようです。
こんな店には配達を中止したいのですが、そうもいかないのが悩みです。 いつまで続けられるやら。

著者 : 岡野 雅海 (おかの まさみ)
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。


第一回
シャム湾
第二回
鮪(まぐろ)
第三回
鰹(かつお)
第四回
ハモ
第五回
スズキ
第六回
タチウオ
第七回
タカベ
第八回
イサキ
第九回
岩ガキ
第十回
カマス
第十一回
イワシ
第十二回
アオリイカ
第十三回
シイラ
第十四回
ボラ
第十五回
熊エビ
第十六回
第十七回
鰆(サワラ)
第十八回
鯖(サバ)
第十九回
魚屋の生活
第二十回
ソコイトヨリ
鬼サザエ
web No223


戻る

更新日:2001年3月27日