岡野雅海
11月末、バンコクは色とりどりのイルミネーションで国王の誕生日を祝います。 数多い祝祭日の中でも「キングス・バースディー」は特別扱い。 国民が敬愛する王様、うらやましいかぎりです。 この時期、懐かしの東海岸漁港では国旗を掲揚し、イルミネーションを輝かせて休漁する船が出てきます。
12月に入ると朝晩めっきり涼しくなり、扇風機のかけっぱなしは風邪ひきにつながります。 こんな時期、市場では何でこんなにと思うほどボラが並びます。 中国系の人々はボラを好んで食べます。 ここ東海岸は中国系タイ人の町。 当然ボラを食べるわけです。 このボラ、我が大和民族にとっては「カラスミ」ならともかく、「ボラはねー」と、一向に食欲をわかせてくれないだけでなく、関東地区では腹の臭いヤツ、汚い川にのぼってくるヤツ、とイメージがよろしくないにもかかわらず、他の魚と比べて値段が高い。
ボラ。 世界中の暖かい海に住む、と言うことはタイランド辺りも御本家のようです。 台湾・香港の「カラスミ」は有名ですが、ここタイランドではカラスミの生産は聞きません。
多分、値段が相当高くなるので誰もやらないのか?
このくそ暑い気候がカラスミ作りに不向きなのか?
カラスミの価値を知らないのか?
カラスミの製法を知らないのか?
色々思いめぐらせても判然としない.......いずれ自分で作ってみるか。
実は一回やって大失敗。 これは製法無知だった為でした。 そのうちリターンマッチをする気でいます。
卵の話が長くなりましたが、身の方は?というと..........。
1.5Kgクラスからメダカの親方クラスまで、この国の方々は意欲的に買っています。
どうやって食べるのかねー.....メダカの親方を。
トンブリ、タクシン王の王像ロータリーを西へ。 ローズガーデンを過ぎた所の橋の下に水上レストランがあります。 ローカルの人々はよく知っている、安くてうまい、有名なレストランだそうですが、この店にヌン・スィーユという料理と、トム・ソムという料理があり、今まであちこちで食べた中で味と値段のバランスが最高と思います。
まず、ヌン・スィーユ。 「醤油味の蒸し物」とでもいいますか、大皿にボラちゃんがデーンと横たわり、醤油・ごま油・わけぎ・パクチー等が上にのった、かなり迫力のある一品でした、ボラの淡泊さをごま油が補い、大変結構でした。
トム・ソムの方は、“酢煮”とでも申しましょうか、イカや白身魚に向く、とのことで、これまた結構でした。
しかし、我が大和民族としては、アライ・薄作りで是非やってみてほしい。
保証付き、本当にウマイ。
●著者 : 岡野 雅海 (おかの まさみ)●
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。
| 第一回 シャム湾 |
第二回 鮪 |
第三回 鰹 |
第四回 ハモ |
| 第五回 スズキ |
第六回 タチウオ |
第七回 タカベ |
第八回 イサキ |
| 第九回 岩ガキ |
第十回 カマス |
第十一回 イワシ |
第十二回 アオリイカ |
| 第十三回 シイラ |
第十四回 ボラ |
第十五回 熊エビ |
第十六回 鯛 |
| 第十七回 鰆(サワラ) |
第十八回 鯖(サバ) |
第十九回 魚屋の生活 |
第二十回 ソコイトヨリ 鬼サザエ ![]() |