タイ国さかな歳時記

岡野雅海

第七回 タカベ

8月、夏の真っ盛り、夏休み、夕涼み、夏祭り、旧盆、日本の夏は思いでだけで、その楽しさを失って20年過ぎました。

「今日は本当に良い天気で過ごしやすいですね」 実際は集中豪雨的雨季の真っただ中。 ........(~_~;)
クーラーのない生活をしているタイの人々.....私もそうですが.....にとってはまさに涼しくて良い天気。

この時期、海も風気味で漁も少なく、揚がってくるのはタカベ。 アジをツルッとさせた感じで、10cm程度の寸法。 背が青く、胴中央に太い黄のタテジマ。 もう、“ イヤっていう程 ” 捕れる。

食物連鎖の下位にあり、大型魚の餌となる宿命を背負っているためか、その漁獲量たるや大変なもの。 あれだけのタカベは一体どこへ消えて行くのでしょうか!?......不思議です。

早朝の桟橋。 ピックアップが続々と船に向かいます。 タカベを満載したピックアップが、次から次へと港を出て行きます。
顔なじみの仲買い(実は運送係)も、他の魚と共にタカベを買い込んでいます。
「どこへ運ぶんだねそれは」
「バンコクさ」
なるほど、クロントイの市場で見たような気がする。

ある日系水産会社でのこと。
「あのこまかいの、頭切って、何するんですか?」
私の質問に、「鳥の餌」
面白くもなさそうに、素っ気なく答えてくれた。

この時期、魚が少なく、本業の方は “ 滞りがち ” だが、従業員を休ませる訳にもいかず、“ 鳥の餌 ” をやっているとのこと、タカベはしょうがなく使われているのか、可哀相に。

そこでタカベの身になって、タカベの料理を調べてみました。 が、何とも変わりばえがしない。
塩焼き、チョット小さいような気がするが、出来ないことはない。
天ぷら。 そうねー、まあー。
煮ひたし、ふーん、食欲わく?
レモン蒸し、これは面白そう、食べてみたいね。
唐揚げ、やって、やって。
南蛮漬け、仕様がないねもう。
誰か、タカベの為に立派な料理を作ってやってくれませんか?

知り合いの板長に聞いてみたところ、
タカベ、何それ?」
住民登録もされていないような言い方、何とかなんないかね。
しかし、プロが見向きもしないようなタカベちゃん、日本の奥様達には割と人気があるとか、タカベの身方、日本のお母さん、今後共タカベをよろしく。

著者 : 岡野 雅海 (おかの まさみ)
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。


第一回
シャム湾
第二回
第三回
第四回
ハモ
第五回
スズキ
第六回
タチウオ
第七回
タカベ
第八回
イサキ
第九回
岩ガキ
第十回
カマス
第十一回
イワシ
第十二回
アオリイカ
第十三回
シイラ
第十四回
ボラ
第十五回
熊エビ
第十六回
第十七回
鰆(サワラ)
第十八回
鯖(サバ)
第十九回
魚屋の生活
第二十回
ソコイトヨリ
鬼サザエ
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更新日:2001年4月22日