岡野雅海
夏から梅雨時にかけて、関西ではハモが旬になります。 体型に似ず上品な白身で、味覚もほのかな甘味を持ち、椀種・鍋・照り焼き・その他色々な使い方が有る、と関西出身の日本料理店主に教えていただきました。 私自身は江戸っ子なため、ハモ料理は全くなじみがありませんが、どうも素人の手に負える魚ではないようです。 ご家庭での料理は諦めて関西系の日本料理店で召し上がってください。
「オイオイ、そりゃあ何だ? 気持ちの悪いヤツだな」。
Burapa University(バーンセーン)の水族館に魚を入れている最中のこと。
「これはハモと言うんです。何かデカすぎるようですがね」 この人、北海道出身なので私以上にハモと縁遠いわけで、初めて見たようでした。
シャム湾のハモは、長さ2m、胴の直径が10cm以上に育ち、体全体が金色がかった黄色。 長くとがった口の中には鋭い歯が並び、目はその筋の関係者のように鋭く底光りし、鱗の無い軟らかい体をうねらせて獲物に襲いかかります。
サメ・バラクーダ・ダツと並んで薄気味悪い魚と言えましょう。
生息地は不勉強なためハッキリしませんが、ハモをあげている船は10~15日間出漁する中型船なので、シャム湾中部からフィリピン近海と思われます。
パックナーム。 サムットプラカーン、バンコクの南、チャオプラヤー河左岸に相当昔から集落があったところ。 ここに大きな魚市場があります。 チャオプラヤー河に沿って船着き場、選別所、魚市場と並んでいます。 午後10時。 魚市場への道は、保冷車・冷蔵車・ピックアップが続々と連なります。
船から河岸へ魚を上げるのは、直射日光・熱射を避け、どこの港でも夕刻から深夜、朝方にかけて。 ここ、パックナームの市場も午前2時頃から活況を呈し、夜明けと共に終わります。
ハモはこの市場の一番川下にあるハモ専門店が一手に扱っているようで、ルークチンプラー(魚団子)の材料として常連の客先へ提供しています。
あなたが昨夜食べたタイスキの魚団子、あれがハモかも…。
●著者 : 岡野 雅海 (おかの まさみ)●
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。
| 第一回 シャム湾 |
第二回 鮪 |
第三回 鰹 |
第四回 ハモ |
| 第五回 スズキ |
第六回 タチウオ |
第七回 タカベ |
第八回 イサキ |
| 第九回 岩ガキ |
第十回 カマス |
第十一回 イワシ |
第十二回 アオリイカ |
| 第十三回 シイラ |
第十四回 ボラ |
第十五回 熊エビ |
第十六回 鯛 |
| 第十七回 鰆(サワラ) |
第十八回 鯖(サバ) |
第十九回 魚屋の生活 |
第二十回 ソコイトヨリ 鬼サザエ ![]() |