岡野雅海
イワシ。 聞いただけで “ ジュウジュウ ” と炭火に落ちるあの音が思い出されます。 上品な魚とは言えませんが、旬になると下町の家々で一際大きな「大羽イワシ」を焼いていたものでした。 このイワシは背中に七つの星を持ち、大きな群を作って産卵場へ向かうそうです。 一昔前は、漁獲量も寂しかったものですが、近年再び回遊してくるようになったとか。 結構な事と喜んでいます。
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「何だ、タイ人も生魚を食べるのか??」
「このあたりの海辺の町の人は食べるのよ」
20年前、私が最初にタイでイワシに対面した時のことです。
チョンブリ・バンセン・シラチャーのシーフードレストランでは、時期になるとイワシの仲間のサッパ(イワシもサッパもニシンの仲間)を三枚におろし、あの牡蠣を食べる時の辛いタレで食べる料理が登場します。
イワシの仲間特有の赤い身、細かい骨がたくさんあり刺身とは趣が異なりますが、当時のチョンブリで生で食べることのできるサッパは、私にとって貴重なものでした。
近年バンコクのタイ料理屋でもこれを出す所が現れ何度か食べてみましたが、チョンブリ当時の感激は味わうことが出来ませんでした。
このサッパ、瀬戸内海で作る“ ママカリ ”の原魚だそうで、日系水産会社が大量に作り、輸出しているのだそうです。 日本からのお土産の“ ママカリ ”が、Made in Thailand.だったりして。
こんな例は他にもありそうです。 ご注意、ご注意。
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ママカリは現在その地位を不動のものにしているようですが、サッパ君の方は釣り人にも認知されていないようで、サッパ釣りなる釣りがあるかどうか定かではありません。
あの大きさから考えると竿釣りの場合は、サビキ(ギジバリ)と思いますが、専門にこれを釣る人がいるのでしょうか?
教えてください。
タイランドのイワシはサッパ・カタクチイワシ・ウルメイワシ・キビナゴと何種か確認していますが “ 炭火でジュウジュウ ” の世界とは縁遠く、油ののり具合もマダマダで、もう一息と言うところです。
南タイのバンサパンヤイの漁港で見た物が最大のイワシでしたが、一年のうち二週間ほどしか獲れないそうで、これまた残念。
●著者 : 岡野 雅海 (おかの まさみ)●
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。
| 第一回 シャム湾 |
第二回 鮪(まぐろ) |
第三回 鰹(かつお) |
第四回 ハモ |
| 第五回 スズキ |
第六回 タチウオ |
第七回 タカベ |
第八回 イサキ |
| 第九回 岩ガキ |
第十回 カマス |
第十一回 イワシ |
第十二回 アオリイカ |
| 第十三回 シイラ |
第十四回 ボラ |
第十五回 熊エビ |
第十六回 鯛 |
| 第十七回 鰆(サワラ) |
第十八回 鯖(サバ) |
第十九回 魚屋の生活 |
第二十回 ソコイトヨリ 鬼サザエ ![]() |