岡野雅海
日本の食卓でもおなじみのマグロ。 日本は世界最大の鮪消費国であるとともに、業者にとっては世界最高の買値をつける上客でもあり、世界中の漁師が日本向け輸出商品として釣った鮪が、空輸で築地市場へ持ち込まれています。
鮪は通常100Kg以上にもなりますが、シャム湾で水揚げされる鮪は大きくても15Kgほど。1~3Kg位のものが主で、イソマグロまたはメジマグロなどと呼ばれています。
これらの鮪は赤道付近で生まれ、ボルネオ島とマレー半島に挟まれた浅い海からマレー半島東側に沿って北上しながら成長します。 そして、一年中で一番涼しい時期が過ぎ中国正月を迎える頃、シャム湾沿いのパッタニー・ナラーティワート・スラーターニー・チュンポーン・プラチュアプキーリカンの漁港に鰹とともに上がってきます。
シャム湾最奥部は、チャオプラヤー川・メークロン川・バンパコン川が最大量の真水を海に注いでいるため、真水を嫌う鮪はペブリー沖でサタヒップ・ラヨーン方面へ向かい、カンボジア・ベトナム沖から太平洋へ泳ぎ出ます。 一部、カンボジア沖で生じたチュンポーン・スラタニー方面への潮の流れにのってシャム湾にもどる鮪があるようで、これらはシャム湾で2~3年回遊している間にかなり大型となります。
日系スーパーマーケットなどで売られている、赤というよりピンク色に近い身をしているのがシャム湾の鮪。 身に赤みがささないので寿司ネタとしては使いにくい、と言われていますが、サッパリした軟らかい身が特徴で、これはこれで美味しいものです。

メジマグロ (1.5Kg、撮影2000年11月)
「オッ、何だそれ? どこへ持って行くんだ?」
「ナイハーン、オーダムなんだけど、デカ過ぎて…」。
「何キロある?」
「26Kg」。
「そうか、ちょっとデカイな。 なんぼだ?」
「…」。
「よし! 俺が引き受けた。 キロ15バーツ。 これでどうだ」
「…」。
何年か前、私の知人がラヨン漁港で実際に買い付けた時の話です。 10Kgオーバーの鮪が揚がるのはせいぜい年に数回。 その為か、タイの漁師達は10kgを超える獲物は持て余してしまうようで、価格はかなり良い加減になりがちなのは、今も昔も変わりません。
●著者 : 岡野 雅海 (おかの まさみ)●
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。
| 第一回 シャム湾 |
第二回 鮪 |
第三回 鰹 |
第四回 ハモ |
| 第五回 スズキ |
第六回 タチウオ |
第七回 タカベ |
第八回 イサキ |
| 第九回 岩ガキ |
第十回 カマス |
第十一回 イワシ |
第十二回 アオリイカ |
| 第十三回 シイラ |
第十四回 ボラ |
第十五回 熊エビ |
第十六回 鯛 |
| 第十七回 鰆(サワラ) |
第十八回 鯖(サバ) |
第十九回 魚屋の生活 |
第二十回 ソコイトヨリ 鬼サザエ ![]() |