タイの魚のうまい食べ方指南

タイを喰らう

岡野雅海

第十回 イスズミ

「これ、何て魚?」
  料理人には馴染みのない魚。   釣り人は先刻承知。   身のシマリの良い、磯臭いくせ者。   これがイスズミです。   近縁にメジナがありますが、より暖海を好み、荒磯の白波を自由自在に泳ぎ回ります。   体型はタイに似ていますが、灰色の地色に黒と黄の縦ジマが走り、珊瑚礁のエビ・蟹などを主食にしている為か、悪食なのか、特有の磯臭さがあり、通には好まれ、一般には評価されない魚のようです。
「どうでしたか? あれ」
「う~ん、 アレ、ねえー 」
当方割合張り切って仕入れたつもりが、この返事。
やはり、クセが有るようで、そのまま刺身ではどうもいけないようです。
「また、元気の良いのが入ったよ!」
いつもの朝市のオバチャン。
「うん、今日はいいよ」

どうもタイの方々にも嫌われているようで、折良くモノ好きな日本人の魚屋が買っていったのに味をしめ声を掛けてきたが、空振り。
柳の下にいつもドジョウはいないんだよねー。
「どうでしたか?」
「まあ、あんなもんやね。   一工夫せんとアカン!」
  客先の常連客。 釣りの方も相当なもので、魚にはウルサイ方。 通の方に出すには相当の工夫が必要のようだ。
「和歌山沖で釣ったこと有るでえ。   生ジメで血抜きをようすれば、イケルんとちゃうか。」
  おっしゃる通り。
くせ者は血が臭い。 生ジメねえー。
.........この国じゃあ無理なのよ。

料理編

「食通は冬のイスズミのワタを酢に漬けて酒の肴に珍重する。」
と、物の本に書いてありますが、釣り上げたらすぐに血抜きとワタ抜きをし、腹の中をきれいに海水で洗うのがポイント、とか。
「先生、今日はイスズミですが。」
「う~ん、くせ者だね。」
「よろしくお願いします。」

刺身

味噌漬け

  1. 下ろし身を適当な大きさに切る。
  2. 両面に振り塩をし、30分ほど寝かせる。
  3. 味噌床に入れる前に切り身をサッと洗い、水気を切る。 (一週間程で漬け上がる)

「先生、刺身の作り方が面白いですね。   湯引きなんてのはいけませんか?」
「臭みは皮目にあるので、湯引きも面白いよ。 皮がコリコリしてね。」
「他には、どんなものが....」
「味噌煮・天ぷら・唐揚げかな。   クセを殺す料理法だね。」

今年は例年と異なり、イスズミが揚がってこない。   イスズミだけでなくシマアジ・ツムブリタイ等の中型魚も少ない“ 異常気象 ”。   自然が人間の仕業に反応し始めたのではないか。

岡野 雅海 (おかの まさみ)
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。

取材協力・・・・日本料理店「みまた」 三俣哲士 氏

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第一回
調理用具
魚の保存方法
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第二回
イカ (頭足類)
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第三回
ツムブリ (あじ科)
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第四回
第五回
カイワリ (あじ科)
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第六回
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第七回
真ゴチ
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第八回
第九回
イイダコ
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第十回
イスズミ
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第十一回
シロギス
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第十二回
アサリ
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ハタ
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更新日:2001年5月26日