「先生、この間の赤エイ、どんな具合でしたか?」
「煮こごりと煮つけで全部売れたよ。 いいんじゃあないかな?」
初めて扱う魚。 例によって「三俣先生」の店へ押し込んだ結果がこれ。
「いつもあるかね」
「大体ね」
赤エイ。 シャム湾にはたくさんいるようです。 東海岸の各漁港から南タイのシャム湾側の漁村では毎日のように水揚げされています。
ペッブリー。南タイへ至る入口の町。 古くからある町でクメールがタイを支配していた時代には南への備えの町として重要な宿駅となっていたようで、往時の名残を留めるクメール様式の遺跡が町の中央にあります。
アユタヤ時代まで続く古都ペッブリーはビルマから来た「モン族」によって開かれ、漁業が今でも生活の中心となっています。
町の中心を流れるペッブリー川沿いに集落が点在し、海に流れ込む川中は相当に広く両岸が船着き場。
水揚げされた魚を加工して干す作業場がそこかしこにあります。 干し場へ入っていくと、何か丸く薄く加工された魚が干してあります。
「何、それ?」
「ガベン」
「ガベン・・・・・・エイか」
エイの身を薄き切り、10センチほどの丸型に成型して干す。 熟練の技が、厚さ・大きさをほとんど同じサイズに仕上げます。
「どうやって食べるの」
「トート キン」
早速買い求めて指示通りに、“ カラ揚げ ”。
熱々を一口。
“ カリッ、サクッ ”といった歯触り、生臭くもなく、「まあ、イケル」。
家人の説明によると「カウ・トム」で食べるそうで、そういえば町道のオカユ屋の店先に並べられていたっけ。
「先生、今日は赤エイですが」
「元気がよければ刺身もイケル」
「刺身ですか」
「そう、九州ではいろいろな食べ方をする」
「では、早速」
身にかぶるくらい煮汁(醤油:1、酒:1、砂糖:1/2)を入れ、ショウガ少々を加えて強火で一気に煮る。
「煮こごりなんて懐かしいですねー。 子供の頃よく食べたような気がします」
「年をとると、昔食べたものが食べたくなる」
「全くそうですね」
「生まれ育った所で食べたものの味は、いくつになっても忘れないものなんだね」
「懐かしい料理をまたお願いします」
「良いんじゃあない。 じゃ、また」
●岡野 雅海 (おかの まさみ)●
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。
※取材協力・・・・日本料理店「みまた」 三俣哲士 氏
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