タイの魚のうまい食べ方指南

タイを喰らう

岡野雅海

第十四回 舌ビラメ

「これさあ、もうちょっとこう幅広で肉厚なのないかなあ」
「タイの舌平目はスマートなのよね」
「チョッと感じが違うんだなー」
客先との会話。
相手は日本でしか知らず、私はタイ産しか知らない。現物を目の前にアアだコウだ、の話が続き、結局仕事無しでチョン。 舌平目に限らず他の多くの魚も似たり寄ったりの会話となる。 ここはタイ、魚はメイドイン・タイランド。 違って当たり前、でも日本の板前さんはコダワルのよねえ。

「岡野さん、舌平目ありますか?」
イタリア料理店のオーナージェフ。
「イタリア料理でも使うんですか?」
「使いますよ。 明後日8人の予約が入っているので、大きいの8枚お願いします」
この注文、海がシケて納入できず.............残念。

舌ビラメ。 日本名:牛の舌。 タイ名:プラー・リンマー(犬の舌)。
両国とも似たようなのがいます。 赤い色の赤舌平目。黒い色の黒牛の舌。 横じまのささ牛の舌。 ツルマキ、セト牛の舌。 私の見た限りでは以上です。

主に料理に使われるのは、赤舌ビラメと黒牛の舌の二種類の様で、コダワル料理人は(前述の人ですが)「黒、持ってこい」なんて言うが、赤持って行っても苦情が出ないのが不思議。

浅海の砂地に生息。 体を砂の中に埋めて上目使いに餌の来るのを待つ。 捕食圏内に入ると、ヒラッという感じで横向きの口を開けて餌を食う。平べったい体に似合わぬ素早さです。 浅く砂地の多いシャム湾は最適の生息地。
さぞかし多くの舌ビラメがいることでしょう。

【料理編】

下処理

表裏とも小出刃でウロコを落とし、腸を出す。 きれいに水洗いして、水気を切る。

料理

1.バター焼き
  1. 一匹付の中型のものはそのまま塩コショウをして10分程置く。
  2. フライパンに溶かしバターを入れて熱し、舌ビラメに薄く小麦粉を付け、表側をこんがりと焼く。
  3. 表側が焼けたら裏返し、蓋をして弱火で非を通す。

「フランス料理のムニエルに似ていますが」
「バターを使うので、そっちから入ったのでしょう。 仕上げにワインを入れるとムニエルになる」


2.空揚げ
  1. 大型は2、3に切り、小型は一匹そのまま塩コショウする。
  2. フライパンの温度を180度に熱する。
  3. 揚げる直前に小麦粉を付け高温でカリッと揚げる。

「小麦粉とカレー粉を半々程度にあわせた粉を付け、カレー揚げにしても美味しい」
「何か大変お手軽な感じがしますが」
「そうでもない。バター焼きは表こんがり裏から火を通すが難しいし、空揚げは揚げすぎて焦がさないようにするのが難しい」
「簡単そうなだけで本当は難しい」
「そういうこと。 じゃ、また」

岡野 雅海 (おかの まさみ)
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。

取材協力・・・・日本料理店「みまた」 三俣哲士 氏


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更新日:2001年2月27日