ブリ、カンパチ、ヒラマサに近いあじ科の大型魚です。 他の3種類より暖かい海を好み、世界中の暖海の表層部をすばらしいスピードで泳ぎ回ります。 大きなものは1m余りもあり、黒に近い青い背部、銀白の腹部、頭から尾にかけて鮮やか黄線が3本走り、ブリよりスマートな体型は健康美いっぱいです。 日本では関東以南で夏にたまに見ることがあるようですが、市場に出回るほどの量ではないので、ご存知ない方が多いことと思われます。 暖海の住人の割にはここ泰国でも漁獲量が少なく、1年に何度か見掛ける程度です。
4月、ソンクラン明け。 久しぶりにツムブリを見ることができました。 80cm、5kg弱。 食べ頃サイズでした。
仲間の老漁師に「どうしてこんなに量が少ないんだい?」と訊くと、
「漁師が全部食べて市場へ出さないから」。
「どうして市場に出さないの?」。
「あんな美味しい魚、他人に喰わす訳にいかないのさ。 3本でも5本でも、自分達が食べちゃうのさ」。
なるほど。 漁獲量は少ないわ、市場へは出さないわ、では、見る機会が極少ないのも当然のこと。 くだんの老漁師の話では、相当沖合まで群れを持つそうだが、型が大きく、数釣りができず、狙って行っても空振りがしばしば、だそうである。
美味しさの根源は脂ののりだそうで、他に並ぶ魚はない、とのこと。 友人の板前がこのツムブリを知っていて、あまりに美味しいので刺身を食べ過ぎ腹を下したと言っていたが、過食と魚の脂、の相乗作用のようであります。 このツムブリ、せめてもう少し漁獲があれば、ブリ、カンパチ、ハマチ等の輸入魚に対抗できるのですが、現在では無理なようです。 一度空振り覚悟で出漁してみようかな、とも思ったりしています。
「三俣先生、本日もよろしく。 第三回、大型魚、ツムブリです。」
「4~5kgが食べ頃かな。 大きいのでグループ買い、一家族で使う場合は、”刺身の後どうするか”。 計画的に使うことだね。」
「早速ですが下処理を」
「ではまず、お刺身を」
「脂ののったところを使う。 これがウマイ。 他にも玉葱、ニンニク、ショウガを薬味にしたステーキ風、醤油、味噌に漬けて焼く、漬け焼きなどがあるけれど、本日はアラ煮を」
「簡単ですが、美味しそう」
「煮魚の基本は同じ。 後は好みと工夫で家庭の味をね」
「では、また」
●岡野 雅海 (おかの まさみ)●
海と水の専門家としてバンセンの水族館建設に関わる。 海、魚好きが高じ、現在は在タイ日本料理店向けの魚を専門に扱う卸業に従事。 そのかたわら、海と魚の研究を続ける。
※取材協力・・・・日本料理店「みまた」 三俣哲士 氏
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